■広帯域フーリエ変換NMRスペクトロメータ PROTⅢシリーズ |
近年、NMR分光測定の手法は、物理・化学における成分分析のみならず医療や生命科学においてNMRイメージングへと応用されつつあります。
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サムウエイでは、従来各大学や研究機関などに送信部(変調器,電力増幅器),受信機,パルス発生器といったNMRシステム個々の装置を仕様に合わせて設計・販売を行ってきましたが、NMR分光測定というトータルシステムの本来の目的を追求した『広帯域フーリエ変換NMRスペクトロメータ』を【PROTⅢシリーズ】として製造販売しております。
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PROTⅢは、ローレベル送受信部が19インチラックケースに収納された広帯域フーリエ変換NMR装置です。
PROTⅡシリーズと同様、パルスシーケンス設定、受信信号解析をPCで行い、高周波部の制御はリモートコントローラで全て行うことができます。また、送受信ともダブルヘテロダイン方式を採用しているため広帯域の送受信でも、位相、QPSK等の調整の必要はありません。
PROTⅢでは、ローレベル部、パルサー/AD部、電源部の三つのユニットを一つにまとめることによって、より小型化、軽量化、廉価化を実現しています。また、周波数変換後の受信IF信号の処理をデジタルで行っていることが特徴です。
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PROTⅢシリーズの構成 |
【コンピュータ部】 |
パーソナルコンピュータによりNMRのパルスシーケンスの設定を任意に行う事ができ、パルス発生器にデータ転送致します。その後は受信モードとなり、受信機により出力された信号を高速A/D変換し、データの取り込み後必要に応じたT1およびT2・FFTの計算結果を表示すると共にプリントアウトができ、測定条件全てのデータをディスクへと保存できます。
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【パルス発生部】 |
パルス法NMRで使用される各種パルスシーケンスの設定をパソコンで行う事ができます。(USB接続)
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【送信部】 |
基準信号発生器より入力された高周波信号をパルス発生器で設定されたパルスシーケンスに従い高周波信号を変調させ出力します。なお、パルス変調時に送信キャリアの位相を0°/90°/180°/270°に設定できます。
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【受信部】 |
受信部は、プリアンプおよび受信機で構成されています。プリアンプについては30dBと高利得・低ノイズでデッドタイムが非常に短いローノイズアンプです。受信機については、高利得で参照信号のフェーズシフタによりコヒーレントな受信信号を得る事ができ、なおかつプリアンプと併せてデッドタイムを短くしており、より良い信号が得られます。周波数変換後の受信IF信号の処理をデジタルで行っております。
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※【パルス発生部】【送信部】【受信部】が一筐体に収納されております。
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【リモートコントローラ】 |
周波数、送信出力レベル、受信GAIN、受信フィルタ、受信位相の設定および、弊社製NMR用電力増幅器N146シリーズのRF ON/OFF制御を行うことが出来ます。(専用ソフトによりPC上でも同様の設定が可能です)
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【切替部】 |
切替部はクロスダイオード・広帯域分配器にて構成されています。クロスダイオードによって受信信号の切替を行うと共に、送信信号ノイズを低減する事ができます。広帯域分配器によってプローブに高周波が供給され、NMR信号がプリアンプに入力されます。通過の損失が気になる場合は、デュプレクサーを使用する事で、分配器より低減する事ができます。
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【パワーアンプ部】(オプション) |
弊社製NMR用電力増幅器N146シリーズ等を組み合わせてご使用いただけます。
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【超伝導マグネット】(オプション) |
液体ヘリウム低消費型かつ高均一度のマグネットシステムで、固体NMRの測定および他の磁気測定用の磁場環境を提供致します。
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型式番号 | PROTⅢ |
周波数帯域 | 1MHz~800MHz |
周波数分解能 | 10Hz |
基準周波数安定度 | 10MHz±1.0ppm (0℃~50℃) |
送信部 | |
送信変調 | パルス |
送信位相変調 | 4相直交位相変調 (0,π/2,π,3π/2) |
送信出力可変 | LEVEL設定0~1023(電圧リニア) |
受信部 | |
プリアンプ利得 | 30dB |
プリアンプNF | 2.5dB以下 |
受信部利得 | 利得設定 0~90dB /1dBステップ可変 + 40dB(固定) |
出力 | SIN/COS ±1.0V (ハイインピーダンス) |
デッドタイム | 6μs以下 (1MHz) |
IF周波数 | 25MHz |
参照信号位相可変量 | 360度 |
位相分解能 | 0.1度 |
ビデオフィルタ | 100Hz~1MHz/19ステップ |
A/D変換部 | |
受信IF信号入力周波数 | 25MHz |
動作クロック | 100MHz 分周比 最大128 |
分解能 | 16bit |
リモートコントローラ | |
周波数設定 | 任意手動設定 (デジタル表示) |
出力電力設定 | 任意手動設定 (デジタル表示) |
出力電力 | デジタル表示 |
反射電力 | デジタル表示 |
受信利得 | 任意手動設定 (デジタル表示) |
受信ビデオフィルタ | 任意手動設定 (デジタル表示) |
参照信号位相 | 任意手動設定 (デジタル表示) |
パルス発生部 | |
出力チャンネル | モニタ用TRG・TX1、アンプ用TX2・METER、予備用AUX1~4 |
パルス幅 | 20ns~1ms |
分解能 | 10ns (設定パルス幅による) |
ハードウェア積算回数 | 最大65,535回 |
繰返し時間 | 1ms~30,000s |
パルス設定項目 | コムパルス幅,コムパルス間隔,コムパルス数,1'stパルス幅,2'ndパルス幅 Tj時間,τ時間,繰返し時間,積算回数 送信位相設定(QPSK),Tjまたはτ増加時間 |
表示機能 | オシロ,積分範囲,積分値プロット,積分値ログプロット,FFT,積分値数値 |
外観形状 | |
本体 | W482×H132.6×D450mm 約10.5kg |
リモートコントローラ | W270×H66.2×D181.3mm 約1.5kg |
切替部 | W300×H53×D130mm 約1.0kg |